2007年8月25日(土) in TOKYO FMホール
23:00−24:00 生放送
横浜・赤レンガパークでの感動的なライブの興奮冷めやらぬ中、私は実家を避暑地に選んで静養の日々を謳歌していた。来月からみのもんたな日々が始まるのを前に少し身体を休ませておきたかったというのが一応の大義名分だが、今月はプライベートでいろんな人に会っていろんな飲み会へ顔を突っ込んだせいか私のプライマリーバランスが著しくピンチに転じていて、それを少しでも是正するためにも今月はおとなしくマグロになろうと決め込んでいたのが実を言うと本心だった。
そんな中、ある方から白昼堂々とメールが入ってくる。「夜遊びライブ当たったから一緒に行かない?」。昔、ある総理大臣が「天の声にも変な声がある」なんていう名言を残したが、変な声どころか神の声が突然私に聞こえてきた。これは幻聴だろうか?いや違う。そう、全国のサザンファンでも体験できる者は数少ない”禁断の生桑田2連チャン”の瞬間が私に巡ってきたのだ。私をご指名してくださって心から感謝いたすとともに、ここぞという時に異様なほど運が強い自分を誇らしく思った。
夜遊びライブといえば実は前回の公開ライブのとき(2005年4月)も抽選でチケットをGetしていて、あのライブで至近距離で聞いた『ラヴ・イズ・オーヴァー』は一生モノのテイクとして今でも私の胸に強く印象に残っている。私自身、2005年〜2006年にある病気で長期間入院していたのだけれども、そのときはベッドの上で自分が体験した直近の桑田ライブ(=2005/4の夜遊びライブ)の幸福な瞬間をよく回想していたし、元気だった頃の輝かしい思い出話としてナースにもたびたびしゃべっていたような記憶がある。あの時は出来れば死ぬ前にもう一回だけ行けたらいいなぁなんて夢見ていたが、まさかまた行けることになるなんて。これは行くしかない。気が付けばケインジアンに変身して財政出勤させている私がいた。
8月25日、新大阪のジューサーバーでミックスジュースを飲んで気合を入れて(淀屋橋でもこの儀式をやる自分)、今週二度目の新幹線に乗って東京へ向かう。夕方に一人で新幹線に乗っていると自分の背中が家族を置いて単身で上京するサラリーマンみたいに見えてきて実に哀愁に満ちていた。会場となるTOKYO FMホールは半蔵門にあるので、迷路のような道を彷徨いながら地下鉄に乗って2年4ヶ月振りに半蔵門駅に降り立つことが出来た。駅前にある居酒屋「笑笑」(前回ライブのときに二次会をやったところ)があまりにも懐かしすぎて、お店の看板を見た瞬間に思わず私も「笑笑」してしまったのはここだけの秘密。そして神の声の”神”とも無事に合流することができ、一路TOKYO FMホールへ。
21:25、TOKYO FMの前に着くと何やらすごい人だかりを発見。心なしか前回より人が多いような気もするが今回も年齢層は若干高めであった。よって外部から見ると一体何の集団なのかが見当が付かず、内堀通りを横切る高校生たちが見てはいけないものを見てしまったかのような目つきで私たちを見ていたのがやけに印象に残っている。繁華街やビジネス街とも違う何とも形容しがたい独特のオーラを放つTFM周辺の空気を久々に感じていると、TFMのスタッフが整理番号順に客を呼んでホールの中へと誘導していた。今回は前回と違って整列することはなかったのだが、呼び方がアバウトだったせいか整理番号順とは言いつつも入場時には順番に若干の誤差が生じている。でもそんなの関係ねえ!そんなの関係ねえ!
今回のライブの観覧募集は応援団の他にTOKYO FMからも告知がされていた。応援団と違ってこちらは普段80.0MHzに合わせてTFMの放送を聴いている首都圏の一般リスナーを対象としたもので、思いっきりTFM圏外に居住している私も『やさしい夜遊び』を介してささやかながらもTFMに貢献している身であるからギリギリセーフなはず(TFM枠で私は入場した)。そうこうしているうちに21:54にホールの門をくぐることができ、小学生の時のお楽しみ会を連想させるチープな抽選券をもらって念願のTFMホールへ入り込めた。相変わらずキャパは狭く、何だかピアノ教室の発表会を見に来ているような感じである。
22:20、照明が一気に明るくなってマネージャー中西と女性の方がNHK教育の番組のように元気よく登場してきた。「去りゆく夏を抱きしめて…」と中西がタイトルコールをしていたのだが、サブタイトル含めてたった数十字なのにも関わらず噛み噛みだったのが観客の爆笑を誘っていた。観客の空気を読んで噛みモードに入ったならば中西はプロ。さて隣にいる女性の方は一体誰なのかなと思っていると、「ビッチ」ことタイシタの井内ちゃんであることが中西より紹介されてテンションが上がる。ここだけの話だが正直申して私のタイプ。今月のTFMのフリーペーパーでは井内ちゃんと桑田が本を貸し借りする仲であることが紹介されていて、違う意味で羨ましく感じたものだ。そんな井内ちゃんからはお約束の注意事項と共に終電案内が延々と読まれる。が、よく考えてみるとライブを見終えてからではどれも時間的に乗れない電車ばかりではないか!(23:50〜0:05発)。何のための案内かと思っていると中西からの「棒読みありがとうございました」という愛のエールが届くオチが。
そして恒例の抽選タイムへ。気になる今回の景品は粋なことにも”松竹梅”と分けられていて、ラインナップは松:ブルースハープ(桑田愛用)、竹:タンバリン、梅:ウクレレとなっていた。前回より商品パワーが若干ダウンしていることはここではあえて気にしない。残念ながら私の番号は今回もかすりともしなかった(せめて一桁ぐらいはかすってほしかった)がそんなことも気にしない。約10分の余興を演じて二人はステージ脇へと去っていった。
ここから本番までは心臓の鼓動と闘う健康に悪い時間が流れていく。が、今回の私は妙に落ち着いていた。至近距離で桑田を見れる一世一代の大イベントなのにも関わらず平静を維持することが出来ていた。おそらくその要因はTFMでのライブというシチュエーションがすでに経験済であることと、何よりも今週2度目の生桑田ということがかなり大きい。学校の授業で一番最初の回は緊張しまくるが2度目にはすっかり慣れが生じてしまっているあの感覚に似ている。とは言いつつもやはり本番前は少しだけ鼓動が早まっていた自分…今か今かと時計と睨み合いながらその瞬間をひたすら待っていた。
時刻が22:45(TFMホールは時刻表示が目の前にある)を指した瞬間に、「夜遊び」ではお馴染みのあのテーマソングが流れてきていきなり桑田が登場!!ぇぇぇぇ!!まだ本番まで時間あるよ???突然のポップモンスター出現に驚く私をよそに「本番入ってませんけど…やっていいですかぁ!」とコールする大将(by 岸谷)。まずは『明日晴れるかな』の弾き語りから今回のライブはスタートした。もともとこの曲は重厚なアレンジが光っている曲だけれども、シンプルなカタチで聞くといつもとは違った発見が出来てまたおもしろい。曲終了後には「マコトのギター上げて」と桑田がさり気なくスタッフに言っていたのが印象的だった(この日は幾度となくハウリングを起こしたりするなど音響の調子が悪かった)。
「今日はぬるっとした構成でいきます。コーナー毎にやっていきます!」…私はリクエストを読みながら内容に応じて演奏していくオールリクエストショー形式(AAA '98)を想像していたのだけど、それでは1時間という枠に収めるには不完全燃焼となる恐れがあるのか曲に対するMCが全体的に今回は割とあっさり目だった。「まず最初は昭和の名曲からいきまーす!」と桑田が高らかに宣言すると、ステージ左側にはピアニカを構える深町栄が登場してきて石原裕次郎の名曲『赤いハンカチ』が会場内に鳴り響く。1960年代の大ヒット曲であるせいか1983年生まれの私にはさっぱりわからず、どう合いの手をすれば良いものかと右往左往していたところ、ステージ両側には歌詞が手書きで書かれた模造紙が高々と掲げられていた。往年の昭和歌謡を想起させる渋い歌詞。こういった歌詞を平成の時代に歌っても全然違和感を感じさせない桑田はやっぱりすごい。
昭和の大スターコーナーは放送前にも関わらずまだまだ続く。続いては美空ひばりの『東京キッド』。半世紀以上前(まだ日本が独立していない頃)の歌で、私からすればおじいさんおばあさん世代の曲だ。どこかで聴いたことはあっても口ずさむレベルにまでは至っていなかった自分が悔しい。が、次にプレイされた『スーダラ節』は私でも知っていて、「♪スイスイスーダラダッタ〜」のサビの部分は私も会場も桑田と一緒に口ずさみながら大いに盛り上がった。桑田も植木等チックなポーズをしながらスイスイスーをやっていて、国民的愛唱歌というのはこういった曲のことを指すのだということを改めて肌で実感。
歌い終えると時間は22:59。「あと1分どうしたらいいの?ここにいる?(スタッフに聞く)…というわけでございまして…」、「Music Lovers」や「MUSIC STATION」の時と違って今回はホームグラウンドなので肩肘張らずに終始リラックスムードな桑田。「今週は忙しくてねぇ…これで一区切りなんですよ。これは言わないでね、来月からレコーディング入りまーす!」…来月からレコーディングということはツアー前にダメ押しのシングルが出る??「みんなどこから来たの〜?」「ぃぇーぃ!!」「口から入った食べ物はどこへ行くのー?」「ぃぇーぃ!」なんて応酬していると時刻は23時になり場内には本放送のオープニングテーマと共に中西の噛み噛みの声が聞こえてきた。「これ上でしゃべってんだよ」と酸っぱい顔で客に語りかける桑田。すると「これは人に言わないでね」とまたまた断りを入れた上で桑田が公の場では珍しくプライベートを語り始めた。
まずは最近メイクさんに円形脱毛症になっていることを指摘された話。漫談をしてくれると期待していた私は拍子抜けしてしまって、会場からは「え〜」という悲鳴にも似た女性たちの悲痛な叫びが轟く。大スターの知られざる苦悩を垣間見た瞬間。次は最近飼い始めた愛犬:クロちゃんを見て桑田が泣く話。喋っているうちにだんだん舌が調子づいてきたのか「まだ放送にのってないから下ネタ言っていいよね??ザーメン・チオビタ!」まで言っていて、周囲の男性陣は歓喜の声を上げていた。それでも時間は30秒余ってしまい、今度はトリビアを披露。「ビー玉はなんでビー玉っていうか知ってる?」と観客に問いかけ、ビー玉のビーはB級品のBで、ラムネ用に使われるエー玉というのが他にあるのだ…なんて言ってると急に「今日はコーナー毎にゆるくやっていきます!」と本番モードに突入。ジングルが一切会場に流れなかったのでどこから本番として放送されているか観客には全くわからなかったが、それを感じさせない桑田はさすが。
生放送が始まってまずは「映画音楽のコーナー!」というわけで古めの洋画主題歌より3曲が演奏された。全くと言っていいほど映画に縁のない私にとっては『THE SHADOW OF YOUR SMILE』(邦題:いそしぎ)は初耳の曲。桑田独特の世界観が刷り込まれた歌声を耳に焼き付けながら聞いていた。次の『LOVE IS A MANY SPLENDORED THING』(邦題:慕情)は2000年にムクちゃんが発表した『口笛とウクレレ』のラストに収録されている曲だったので、そのテイクと対比させながらステージ同様ゆったりと鑑賞に耽っていた。続いての『MOON RIVER』はかの有名なオードリー・ヘプバーン主演『ティファニーで朝食を』のテーマで、この曲も『口笛とウクレレ』に収録。原曲よりもカバーやライブでのテイクを真っ先に思い出してしまうのはサザンファンの性なのだろうか。この曲を聴いていると無性に喫茶店でコーヒーをすすりたくなってくるのはどうしてだろう。
セレブな余韻に浸っていると今度は「加山雄三さん古稀お祝いコーナー!」が畏れ多くも始まった。昨年の夢人島Fes,2006における大御所オーラがギラギラな加山船長のステージは今も記憶に新しいが(船長の前では桑田の背中が小さく見えてしまった)、『お嫁においで』を聞くとあの興奮が瞬時に蘇ってくる。桑田をも凌ぐオーラを放つ加山雄三は一体何者なのだ??ステージ両端にはカップルに扮したスタッフたちが曲に合わせてダンスしており、そのあまりのチープさに「安いスナックみたいだな」と条件反射的に言葉を切り返す桑田の姿があった。そして次は前回の夜遊びライブでも演奏されていた『蒼い星くず』。前回で曲を覚えた私も一緒になって合唱。ちなみにこの曲をカラオケで歌うと光進丸と共に若かりし頃の船長が出てくるので必見。このコーナーからパーカッションのけっちゃんがぶっつけ本番で参加していて、以後は桑田・斉藤・深町・けっちゃん体制で最後まで曲がプレイされていく。思い起こせばけっちゃんとの最初の出会いはTFMホールだった…
さらに永遠の名曲『君といつまでも』が登場。この曲の間奏の台詞ほど恥ずかしいものはなく桑田がどう打って出るか興味津々だったが、「セリフははしょっていいだろう?」と見事にスカされてしまった。ステージ両端には女の子が二人いて、左の井内ちゃんがものすごく恥ずかしそうにしながら踊っていたのが桑田の苦笑を誘う。その”照れ”がものすごくかわいくて、その時の私の視線が左へ若干移動していたことはここだけの秘密。船長コーナーでもステージ両端に歌詞が模造紙で掲げられていたのだけれど、左のほうは曲についていけてなくて違う歌詞が常時表示されるようになってしまい、ついには表舞台から撤収していた。歌詞を表示するモニター費すらTFMから出なかったのかと思うと若干せつなくもなった瞬間。
「CMです!」と桑田が掛け声をして最初の休憩タイムへ。何やら紙を凝視して5秒ほど硬直する桑田。んん?と思っていたら「何でもないよ」と笑みを浮かべていた。ラジオだと実に自然体。そして「みんな今日はどこからきたのー?」と客に質問し、ステージ後方から女性の方が「アメリカ!」と答えると会場内が驚嘆の声で渦巻いた。外国からの遠征はサザンファンならば充分にあり得る話。次にステージ中央からは「姫路!」という声が沸き立つ。姫路が大阪より遥かに遠いところにあるのは関西人ならば皆承知だが、桑田はあまりわかっていなかった様子だったので残念ながら訴求力はあまりなかった。こういう私だって結構遠くから来ているんだぃ!と思い「大阪!」と手を挙げて桑田に直訴しようかとも一瞬考えたが、大阪だと中途半端な遠さであまりインパクトがなく、微妙な空気を生放送に引きずってはいけないと思い自制する自分がいた。
そうこうしているうちにCMは開けていて(本放送のジングルは会場に流れず)、次は桑田お得意の洋楽コーナーが始まってゆく。立て続けに演奏されたのはレオン・ラッセル『THIS MASQUERADE』、エリック・クラプトン『BELL BOTTOM BLUES』、ジョン・レノン『JEALOUS GUY』の3曲。少々マニアックな選曲になった理由はリクエストというわけではなくおそらく桑田が単に今の気分で歌いたい曲だったからではないかと勝手に推測。ゆるりと気持ちよく演奏する桑田とは裏腹に、周囲の観客は『君といつまでも』の余韻を妙に保っており、テンション爆発の前兆がP波で私の脳に伝ってきていた。
2度目のCMタイム。このCM中にて桑田は観客に質問を募っていた。一人目に指名されたのは20歳の青年で「今の気持ちは?」というピュアな質問が桑田に投げられる。「今の気持ち!?今の気持ちねぇ…今夜は最高!」なんて桑田は答えていたが無難な質問で内心はホッと胸を撫で下ろしていたのではないだろうか。続いて桑田は青年に「どこに住んでるの?」と切り返し「千葉です」と答えたら「あっ、バーチーね」と業界用語をかまして次の人にバトンが移る。続いての質問は「今日のパンツの色は?」。会場爆笑。「そんなの聞きたい?」と困惑しつつも「グレー」とはっきり答える桑田。ただし「先っちょは残尿で黒い」ということらしい。51のおっさんがそんなこと言ったらリアルじゃないか!この人にも「どこに住んでるの?」と切り返すと「川崎」というあまりにもノーマルな答えが返ってきたので「もっとすごいところないの〜」と欲求不満の気持ちを顕わにする桑田の姿があった。「テルオさんもうすぐ?」と番組内で絶大な権力を握る佐藤輝夫Dに時間を確かめてCMタイムが終わっていく。
CM明け、「CM中に質問コーナーしたんですけど大して盛り上がりませんでした〜!」と自虐する桑田。次は「阿久悠さんを偲ぶのコーナー!!」のスタートだ。先日亡くなられた昭和の名作詞家:阿久悠のヒット曲…とは言っても世代的に私の場合すぐにはピンと来ない。何があるだろう?と考えを巡らせていると知らないイントロが流れてきて…曲名を知りたくて今回もステージ右に設置されていた日めくり式のタイトル表示に目をやるとそこには『勝手にしやがれ』と書かれてあった。でも残念なことに私はこの曲を知らなくて口ずさむことが出来ない(もちろんサザンの『勝手にシンドバッド』のモチーフとなったことぐらいは知っているが)。そんな私を砂漠の真ん中に置いていくかのように周囲は大合唱の嵐で決めポーズのオンパレード。振りまで完璧にやっている人もいた。小室世代の私にとって久しぶりにリアルで味わうジェネレーションギャップ。
続いての『渚のシンドバッド』も私には馴染みがない曲だった。「みんな歌え」と桑田に絶叫されて何とかモゴモゴと歌うものの周囲のあまりのノリノリ振りに異国の地に来たみたいな感覚がひんやりと漂う。が、続いての尾崎紀世彦の『また逢う日まで』は辛うじて知っていた。ひげを蓄えたワイルドな風貌のおじさんが懇願調に歌っていたこの曲は確実にどこかで聴いた覚えがある!よってサビだけならば歌える!歓喜に満ちた私は都知事選の時に拡声器で石原裕次郎の曲を熱唱していた黒川紀章のように「♪ふたりで名前消して〜」と半ば絶叫するように歌っていた。昭和歌謡というカテゴリーはあっても平成歌謡というカテゴリーはない現状を鑑みると、日本人の琴線にふれるこういった名曲はもう生まれてこないのだろうか?
ノスタルジックなコーナーが終わって「持ち歌コーナー!」と桑田が言い放つと会場のテンションは一気にヒートアップしてきた。やっぱりみんなが一番聞きたいのは持ち歌なんだなとつくづく実感。ステージ上の雰囲気からアノ曲を歌うような気がしてきて、しんみりモードへと入ろうとしていたその瞬間、何を思ったか生放送中にも関わらずザーメン一気飲みの話をやり出す桑田がいた。すると「曲順間違えた!」といきなり慌てる桑田(間違えてなかったら延々としゃべってた?)。斉藤誠からもバツマークを何回も出され、混乱の中で流れてきたのは本日公開の映画の主題歌ともなった『風の詩を聴かせて』だった。この曲は今週数え切れないくらい聞きまくったけれども、聞けば聞くほど熟成された味が出てきており、こんな素晴らしい楽曲を今年の夏に贈り届けてくれた桑田にはファンの一人として感謝の気持ちでいっぱいである。前日も「MUSIC STATION」と「僕らの音楽」でこの曲の映像を見ることができて、すっかり曲の世界観に酔いしれていた。愛は命を豊潤なものにするが、エロだって地球を救えるほどのパワーを秘めているわけであり、そのことを桑田は伝道師としてリスナーに伝え続けている。
「今回はたくさんリクエストをいただきまして、メッセージは全部読んでいますけど…リクエストが一番多かった曲をやりたいと思います」。リクエストナンバーワンの曲って何だろう?と思っていると演奏されてきたのは『可愛いミーナ』であった。ちょうど5年前の夏にCMでも頻繁に流されてよく聞いていた曲で、この曲を聴くと19歳の自分を思い出す。「みんな歌ってね」と桑田が言ってくれたので私も遠慮せずに歌うことにしたのだが、ものすごく久しぶりに歌ったのにも関わらず歌詞を一字たりとも間違えることがなかった自分が怖かった。「♪タバコの煙が〜」のところを桑田と一緒にみんなで歌うと涙がちょちょぎれに…そしてセンチメンタルな曲の後は『希望の轍』でラストスパート。先日横浜で聞いたレスポール弾き語りも最高だったが、今回のアコースティックスタイルもゾクゾクと心が燃えてくる。どんなカタチで演奏されても確実に盛り上がるこの曲のパワーは発表後17年が経過しても未だ衰えを見せておらず、『希望の轍』を語らずして桑田の魅力は語れない。
次は何が演奏されるのか??と思ってふと時計を見上げると時刻は放送終了の時間を指していた。「もう放送は終わりですが…今日は来れなかった人たちもたくさんいると聞いています。今日はみんなからエネルギーをもらいました。ありがとう!」…おっとっと会場の空気が締めモードになってきてしまった。ここで桑田から改めて秋・冬に全国ツアーを開催する話が伝えられる。タイトルが「呼び捨てでも構いません!!」ってことで観客に自分の名前を呼び捨てさせる桑田。さらには女性限定で「けいすけ」と呼び捨てさせる桑田。するとしんみりと『Ya Ya(あの時代を忘れない)』の「♪胸に残る〜」が聞こえてきた。この曲を聴くと昨年の「MUSIC STATION」でのサプライズを思い出してしまう。今どんな思いで桑田はこの曲を歌っているのだろう?サザンを愛する者の一人として今この曲を聴くと息苦しくなってしまう。最後は「♪忘られぬ日々よ」を3回続けて、ラストのラストに「♪今日はありがとう」とファンに向かって歌ってくれたのがとてもうれしかったし、救われた気がした。
「終電みんな大丈夫〜」といつもの調子で桑田が話し掛けても、今日の客はエンディングムードを拒絶するかのように「え〜」の大合唱。そして桑田を求めるアンコールのウェーブも一向に止まる気配がない。「もう俺は帰りたいんだけど!」と本音を漏らす桑田もさすがに客の熱気を抑えきれなくなって、スタッフへ耳打ちした後に「もうちょっとやろか〜!」と延長戦を宣言していた。おかげで会場は大興奮!「じゃあリクエスト何かある?」と観客にふると「波乗りジョニー!」との声が…「波乗りジョニー!?波乗りジョニーはちょっとなぁ…」とガチで難色を示す桑田。そして散々悩んだ挙げ句にスタッフにエレキを持ってこさせて「じゃあ波乗りジョニーやるか!」と夢の延長戦が始まることに。「これ聞いたら帰ってよ!」と念を押す桑田の姿も。。
「波乗りジョニー、オレ一人でやったことないんだよぉ」と最初は弱気だった桑田も「じゃあもうやるよ!やけくそだ!!」と「♪青い渚を走り〜」と大ヒット曲『波乗りジョニー』が桑田一人によって演奏されていく。もちろん歌詞モニターも一切なしの完全ぶっつけ本番。その割には意外に歌詞を間違えていない桑田。途中のBメロはリフを忘れたのか一切弾かずに歌声だけで通していて、これはめちゃめちゃ貴重なシーン。『波乗りジョニー』は私もすごく好きな曲だけれど、今回のテイクはかなり思い出に残ったし、この場に居合わせたことをサザンファンとして誇りに思った。客の無理難題に付き合って歌ってくださった『波乗りジョニー』を私は一生忘れない。ファンを思いやる桑田の優しさにも本当に感動した。ありがとう、桑田佳祐!!
最後は桑田が本番中にずっと身に付けていたペンダント(安いやつらしい)をCM中に「今の気持ちは?」と質問した青年にプレゼントしていた。彼にとってはきっと一生の記念になるだろうなと心が和んでいると、前の女性にも飲みかけのペットボトルをプレゼント。そして前の方の人たちと握手を交わし、最後に残した言葉は…「地元に帰ったら今日のライブ盛り上がったって言っといてよぉ」。ステージ両端を往復した握手の時間も結構長くて、私はこのサービス振りにひたすら感動しきりだった。
桑田が舞台袖に去った後、トドメを刺すかのようにステージに登場してきたのがマネージャー米谷。「えー、みなさんのおかげでですね、えー生放送が、えー無事に、えーうまくできたことを、えー感謝しています」と原稿を棒読みしているのにも関わらず今日も「えー」を連発。しかしそんな熱意あるコメントを無視してホールから帰って行く観客たち。この時点ですでに終電はなくなっていたような気もするのだけど、果たして都内の人は無事に自宅へ帰れたのだろうか。
近くで放送を聞いていて自転車でTFMにやってきたR嬢も合流して夜中の半蔵門でクロストーク。そして次の日の青春18きっぷ独り旅に備えるためにホテルへ戻ってテレビの電源をオンにするとそこには『風の詩を聴かせて』を歌っている桑田の姿が映し出されていた…サザンオールスターズ/桑田佳祐のファンになってちょうど10年の夏。今、10年経って(by Young Love)さらにサザン/桑田のことを好きになっていく私がいる。この10年の間にサザンが私に教えてくれた大切なこと…それは音楽を通して”好きになることってとっても素敵なことなんだよ”というのを伝えてくれたことだ。サザンの音楽に今までどれだけ救われてきたことか。精神的支柱にサザンがいてくれたからこそ私は今を生きている。そして人生を前向きに楽しむことが出来ている。ありがとう。ありがとう。ありがとう。またあなたにライブで会えることを祈りつつ…桑田佳祐、最高!!!
P.S. あれから無事に大阪へ戻り、『風の詩を聴かせて』をずっと聞き続けている毎日を過ごしています。