AKEINS REPORT

サザンオールスターズ 茅ヶ崎ライブ

2000年8月20日(日) in 茅ヶ崎公園野球場
開演:17:06 終演:21:01

    〜セットリスト〜

  1. 希望の轍
  2. いなせなロコモーション
  3. みんなのうた

    【MC】

  4. 茅ヶ崎に背を向けて
  5. YOU

    【MC】

  6. 涙のキッス
  7. 夏をあきらめて
  8. C調言葉に御用心
  9. チャコの海岸物語
  10. 思い過ごしも恋のうち
  11. 気分しだいで責めないで
  12. 勝手にシンドバッド

    【MC&メンバー紹介】

  13. 鎌倉物語
  14. NO-NO-YEAH/GO-GO-YEAH
  15. 爆笑アイランド
  16. イエローマン〜星の王子様〜

    【MC】

  17. 虫歯のブルース〜インディアン狂想曲[MEDLEY]
  18. 通りゃんせ
  19. 愛の言霊〜Spiritual Message〜

    【ビデオメッセージ】

  20. メロディ(Melody)
  21. 冷たい夏
  22. SEA SIDE WOMAN BLUES
  23. ラチエン通りのシスター
  24. 真夏の果実
  25. TSUNAMI
  26. HOTEL PACIFIC
  27. ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)
  28. マチルダBABY
  29. フリフリ'65
  30. ボディ・スペシャルU
  31. マンピーのG★SPOT
    〜ENCORE〜

  1. LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜
  2. 夕方Hold On Me
  3. いとしのエリー

    【MC】

  4. 心を込めて花束を

 

茅ヶ崎ライブは今振り返ってみると夢物語のようなライブだった。ライブの内容がどうこうという次元ではない。あのライブ自体が奇跡そのものだったのだ。当時私は17歳。二度とは巡ってこない17歳の夏をサザン・茅ヶ崎と共に過ごすことができた私は幸福者だ。一生忘れられない夏の思い出である。

このライブは非常にチケットが入手困難(一説には約20倍)で、FC優先もゲネプロも私なんてカスリともしなかった。まぁ別に諦めはついていたのだけど、運命というのは不思議なもので・・・ある日突然、私のHPの「素顔で喋らせてBBS」へよく遊びに来てくださっていた方が「一枚譲る」と言ってくださったのだ。これには思わずびっくり。暑い夏の日に千日前線のなんば駅で受け渡しという実に地味なシチュエーションで私の手元についにチケットが届いた。

あの頃はちょうど高校を中退して大検の予備校に入る直前のときで、いろいろと人生に対して葛藤を抱えていた。もし今17歳の自分に出会えたならば「もっと気楽にいけよ。人生なんて長いんだから」と肩を叩いていたと思うのだけど、やっぱり当時は一人では抱えきれなかったし、ちょっと考え方が青すぎた。大好きなサザンに会って元気をもらおう・・・と思って行くことを決意したのがこの茅ヶ崎ライブ。前の日からずっと緊張が止まらなかった。大阪ではちょうど雨が降っていて、当日の茅ヶ崎の降水確率が50%と聞いたときには正直どうしよう?と本気で心配したものだが、当日は夏らしい天気となってくれた。

実はこのライブのことはほとんど覚えていない。ビデオで見ても本当に自分はここにいたのか?と今でも自問してしまう。人間が深い眠りについているときに幻覚する”夢”のように後で思い出そうにも中身がすっぽり抜けてしまっているのと同じ感覚。だけどもライブ前後のことは不思議と鮮明に覚えているのだ。どうしてこうなってしまったのかは未だにわからない。何か神めいたチカラが見えない世界に作用したのだろうか。

この日は新幹線で新横浜まで行って、横浜でいったん荷物を置いて、東海道線で茅ヶ崎へ向かった。電車の中ではサザンのTシャツを来てる人がちらほら・・・しかも茅ヶ崎へ近づくに連れてだんだんそういう人が増えてくるのである。茅ヶ崎で降りたときにはものすごい人だかり。とにかく群衆に流されるがままに球場へと足を運んでいった。茅ヶ崎・・・桑田佳祐のふるさとである。憧れの人の愛する土地である。着いたときは嬉しさのあまりにドキドキしすぎて心臓が変になってしまうのではないかと不安に思ったくらいだ。

お昼に何も食べていなかったんでどうしようもなくお腹が空いてきたので、どこかの家の前で売っていた焼きそばを買って図書館へとつながる階段に佇んでひとり食べていた。あの日は球場へ通じる道に露店がいっぱい並んでいたのだけど、他にも通りに面した家が即席でお店を出していて本当に街ぐるみでライブを支えているんだなというのが肌で実感できた。雰囲気でいえばまさにお祭り。それでも図書館へ入ったら普通の日曜日のように親子連れで賑わっていたのでそのギャップがとても不思議だった。数百メートル先はライブという名のお祭り会場なのである。

会場が近づいてくるとすごい熱気が包んでくる。地元の方による混雑防止のためのチケットチェックも何カ所かあったのだけど、ほとんど機能不全になっていたくらい活気がすごかった。ものすごいライブを今まさに見に行こうとしているんだ、と思うと私の興奮もピークに。複雑なゲートなどを通らずダイレクトに会場入りするとなんだか奇妙な一体感を感じた。これだけは今でも鮮明に覚えている。野外ライブだけども渚園みたいにだだっ広いステージではなく、なんだか中途半端なキャパだっただけにそれが余計に一体感を醸成していたのかもしれない。例えるならばあの一体感は宗教的なものだった。

さぁ17時すぎから始まったオープニング、これがまた長い!30分ぐらいある。最初に辻よしなりが夜遊びのテーマ音と共に出てきて「渚園みたいや〜」と思い、小川直也が出てきて「誰それ?」とマジで思ってしまい(格闘技を知らないのでごめんなさい)、福山雅治が出てきてちょっと興奮したり・・・そしていよいよサザンがステージ下から登場!!まず最初にステージ前へ出てきて6人だけで万歳するのだけど、別に当時は普通に見ていた。ところが今ビデオでこの光景を見るとグっときて・・・もう6人では絶対に出来ないんだと思うと・・・なんかこの万歳は意味があるように思えてならない。ひょっとしたらメンバーはこの時すでに「6人では最後」と薄々感じていたのかもしれない。結果的に茅ヶ崎ライブが6人最後のライブとなってしまった。

1曲目の「希望の轍」は鳥肌モノだ。”茅ヶ崎−サザン−17歳の今ここにいる自分”が一瞬にして一つに重なったときの感動といったら・・・そしてこの後から記憶が断片的になってしまう。確かにいたはずだ、あの場所に。でも曲を聴いたときに何を感じたのかっていうことが今は本当に思い出せない。悪い魔法でもかけられているような感じなのだ。ただ一つ覚えているのは”花火”。とにかくめちゃめちゃキレイだった。その後に続く『真夏の果実』のイントロがあまりにもマッチしすぎていて、言葉にならないくらいの大きな感動を味わうことができた。この『真夏の果実』を超えるテイクは後にも先にも存在しない。

・・・記憶はコンサート後からまた戻り始める。規制退場で私は真面目にずっと待っていた。ところが何十分経っても一向に呼ばれなくてもう周りは規制なんて完全に無視して帰っていっちゃってる。たまらず私も(というか存在自体が忘れられていた気がしたので)バックスクリーンから茅ヶ崎駅へと帰っていった。もちろん道なんてわからないので、周りについていったわけで・・・しかし裏道だったため人があんまりいなかった。それどころかものすごく普通な風景が拡がっていて・・・飲み屋があったり、住宅街があったり、私が住んでいる街と同じ匂いがした。「本当にサザンはここでライブをしていたのか?」と思わず自問自答してみる。次の日ですらあの地にいたことが不思議に思えたくらいだった。

翌日の昼に大阪へ戻ってきて夕方のニュース番組を見ていたら各局茅ヶ崎ライブのことをやっていてびっくりした。夜にテレビ東京系の「WBS」を何気に見てたらいきなり昨日のライブの「♪風に戸惑う〜」と歌い出しが流れて「茅ヶ崎ライブの経済効果」なる特集をやっていたときも相当びっくりした。そう、茅ヶ崎ライブは社会現象となっていたのである。20日の朝日新聞の朝刊1面に写真が載っていたほどなのだ。私が茅ヶ崎ライブのビデオを見ることになるのはその2ヶ月後のこと。

ちなみに茅ヶ崎ライブを特集した雑誌で一番お気に入りなのが「SWITCH SPECIAL EDITION」(これはフリーペーパー)。観客の視点からライブのことが描写されており、読んでいると暑かったけどワクワクしたあの日の情景が目に浮かんでくる。茅ヶ崎ライブ写真集も買った。茅ヶ崎ライブ記念ドラマ『めぐる夏』だってチェックした。茅ヶ崎ライブのパンフレットだって砂やピックは未使用のまま手元に残っている。茅ヶ崎ライブへ行ったことは大切な大切な宝物だ。

・・・そしてこのライブからちょうど5年後の2005年8月20日。私は茅ヶ崎へ行く予定を立てていた。大人になってからもう一度どうしても茅ヶ崎へ行きたかったのだ。しかも5年後に行くと私はずっと決めていた。ライブは一人だったけど今度は好きな人を連れて行こう!と。そして段取りまでちゃんと出来ていた。しかし8月20日、私は病室にいた。悲しかった。悲しかった。悲しすぎて涙さえ出なかった。でも今度の夏は絶対叶える。絶対叶えて、茅ヶ崎でサザンを聞くんだ!!

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