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ISBN 978-4-08-747355-1爆笑問題の世紀末ジグソーパズル
爆笑問題
集英社 2001-08-25
[集英社文庫 は-29-1]

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お笑いコンビの中で一番好きなのが爆笑問題だ。
好きというよりもあらゆる意味で自分の写し鏡といったほうが良いかもしれない。
特に太田光には共鳴するものがものすごくあって、憧れている芸人のうちの一人だ。
(ちなみに爆笑問題もサザンオールスターズの大ファンとして知られている)

爆笑問題の魅力といえばなんといってもシュールな毒を盛った社会風刺だろう。
今のお笑いというのはネタがとことん土着的で笑いのベクトルも常に下向きなのだが、
アイロニカルかつラディカルで常に上向きな笑いを突き刺す爆笑問題は希有な存在であり、
その芸風は言葉や文化における東西の違いを超えて私を虜にした。

本書はそんな爆笑問題の魅力が最もコンパクトに凝縮された一冊ではないかと思う。
政治・経済から社会・流行・学問に至るまでのホットでナウい(死語)項目が
ユーモア溢れる漫才風な切り口からイミダス風に解説されており、
ここまで語れる芸人は東西合わせても爆笑問題しかいないだろう。

それほど政治色も強くなく、一つのテーマもコンビニ的に短く完結するので非常に読みやすく、
ダラダラと冗長的な構成となっていないのも本書の核を占めるポイントだ。

が、もともと1999年に刊行された単行本を文庫化したのが本書なので、
(1997-1999に雑誌で連載されていたものをまとめたもの)
今読むと扱われているネタが若干古くなってしまっているのは否めない。
が、山一證券廃業や香港返還は今や完全に過去の出来事となってしまった感がある一方で、
セクハラや医療ミスの問題は現在でも深刻な様相を呈している社会問題であり、
'90年代風の皮肉が悲しいことに現在でも通じてしまう。

ちなみに"著者:爆笑問題"となってはいるものの基本的に太田光が本書に限らず筆を握っている。
そのため理性を逸した太田の暴走や明らかに放送禁止なネタが多用されているものの、
かといって最後までバカ騒ぎで終始していないところも本書の良いところだ。
映画や文学についてのマジ語りは単なるお祭り芸人とは一線を画していて知的でかっこいい。

「日本を変えたいのなら政治家になるよりお笑い芸人になったほうが良い」

太田光は常々このような趣旨の発言をしているが、その真意が本書を読めば改めてひしひしと伝わってくる。
鋭い洞察力とユーモアを持ったお笑い芸人のほうが利権に雁字搦めにされた政治家より格段と役に立つのではないか---
病気に笑いが必要なように、政治・経済・社会に一番必要とされているのは有能な政策よりも実はお笑いなのかもしれない。
笑いは時に薬になり、時に毒になり、時に神となるのだから。

ニュースを見ながら笑いたいあなたへオススメの一冊。

ISBN 978-4-10-131371-9ウケる技術
小林 昌平 山本 周嗣 水野 敬也
新潮社 2007-04-01
[新潮文庫 こ-41-1]

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何かと「格差」で括られがちなしがない現代ニッポンにおいて知られざる「格差」が一つある。
それは私たちの日常生活に潜む「コミュニケーション格差」だ。

コミュニケーション力がままならないと人間関係が円滑に構築できないどころか
趣味や仕事にも影響をきたす様になり、結果的に生涯所得や結婚における「格差」までをも助長させてしまう。
バラ色の人生を歩めるかどうかはまさにコミュニケーション力に懸かっているといっても過言ではないのだ。

ところがこのスキルというのは教科書的に教わる機会が全くと言って良いほどない。
巷に溢れているコミュニケーション力を扱った本のページを捲ってみても、
「楽しい思いをする」というよりも「不快な思いをしない」ことに重点が注がれていて、
会話における夢も希望も創造もないリスクヘッジ法の羅列に終始している本が多かったのではないだろうか。

本書はそんな既成概念を打ち破る一歩踏み出した新しいタイプのコミュニケーション教則本だ。
「笑い」をいかにして会話に組み込むかにスポットを当て、
ウケるための即戦力になる技術が体系立てて整理されている。

しかしこの本に書かれていることを一字一句違わず実際の会話に応用させたからといって
必ずしも笑いが取れるとは限らないし、むしろ場を凍てつかせることにも繋がりかねない。
それほど「笑いをとる」=「ウケる」とは五感をフルに使った難しいスキルであり、
人間性や社会性が入り交じった総合的なコミュニケーション能力が問われてくる。
「コミュニケーションは、プロレスである」 (p132)
「コミュニケーションは、サービスである」 (p158)
ことを認識していないとやがて会話に齟齬が生じてくるだろう。

さてこの本で特徴的なのは決定的に不利な状態(周囲が知らない人、すでに空気が重いetc.)を
好転させるためのスキルの解説にページがたくさん割かれていることである。
周りがあまり仲の良くない人達で、すでに自分は一回滑ってしまって全員がそっぽを向けている...
そんな四面楚歌の状態を清浄化して更に「笑い」の場にまで昇華させるには精神的な強さも必要とされてくる。

「「行かない」ぐらいなら、スベったり、相手の気分を害したりした方が
 まだはるかに前進しているということです」 (p44)

従来型の本では「相手に不快感を与えない」ことがまず第一の到達目標であったわけだが、
本書では時に相手を不快にさせるような言動も積極的に推奨されている。
しかしそれは後に「ウケる」ためのスキルで解毒ケアされることが前提であり、
言うならばその「毒」は「爆笑」の触媒になっているというわけだ。

そしてただ笑わせることに終始していないのも本書の好感ポイントの一つである。

「ウケる技術は、(それは毒舌という形態をとっても、シニカルな表現であっても)
 愛をベースとすべきなのです」 (p241)

愛がない笑いは単なる侮辱である。だからこそ独りよがりになっていてはいけない。
空気を読みながら、時に空気をずらしながら、人に優しくバリアフリーに「笑い」をとっていくことが
何よりも大切であることを常に肝に銘じていたいものだ。

「毒と薬のリップサービス」 (p158) に溺れたいあなたにイチオシの一冊。

ISBN 978-4-12-150202-5世界の日本人ジョーク集
早坂 隆
中央公論新社 2006-01-10
[中公新書ラクレ 202]

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世界で楽しまれている日本人をネタにしたジョークを紹介しつつ、
日本特有の文化や風習を改めて知ることが出来る一冊。

この本に収録されているジョークでの日本人は
「金持ち」「ハイテク」「集団主義」「勤勉」...など
思わず苦笑してしまうほどド直球なステレオタイプで描かれている。
個々の人間をマクロで捉えてレッテルを貼りたがる日本人が
いかにも好きそうな本で、事実この本も2006年のベストセラーとなった。

外国人がどのように日本のことを思っているかを知る上においては
この本は読者に有効な橋渡しをしてくれる。
なぜそこまで残業をするのか。どうして特定の宗教を信じないのか。
何時でも時間に厳しいのはなぜなのか。サムライはどこにいるのか...
これらの素朴な問いはそのまま日本文化論へとつながっていく。

しかし複雑な現代社会ではそういったステレオタイプは通用しない。
例えば日本人の間でいま起こっている格差社会。
経済的な格差のみならず能力的・人格的な格差などが
年を追う毎にだんだんと拡がっていることが社会問題となっているが、
そんな混沌とした社会を読み解くときに
杓子定規に「金持ち国家ニッポン」「集団で押し寄せる日本人」などの
言葉を押し込んだとしても何の真実も浮かび上がってこない。

なので飽くまでも「おあそび」として本書を読むのが一番良いだろう。
特に本書収録の「女性国家論」ジョークは一読の価値ありである。

が、ジョーク(特に民族や宗教ネタ)は一つ間違えると凶器に成りかねない。
故にその使用に際しては「空気を読む」ことが何よりも求められる。
宴席等で気をよくしてもエチケットとして無闇に使わないことを心掛けたい。

さて、肝心のジョークのおもしろさ度といえば...
日本人の感覚からすると正直賛否が分かれるのではないだろうか。

ISBN 978-4-10-123341-3四国はどこまで入れ換え可能か
佐藤 雅彦
新潮社 2005-11-01
[新潮文庫 さ-59-1]

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突然だがみなさんにある命題をお尋ねしたい。
「四国はどこまで入れ替え可能か」

四国といえば日本列島を構成する本土四島の一つであり、
島の形状も日本人ならば知らない人はいないはずだ。

では四国を一度北海道と入れ替えてみたらどんな日本列島になるだろう。
実際に入れ替えてみると凸凹でアンバランスな形状になってしまい、
今流行の言葉を拝借すれば列島が「美しい国」でなくなってしまう。

北海道がダメなら九州と入れ替えてみたらどうだろう。
実際に入れ替えてみるとなかなか悪くはない。結構イケるかもしれない。

ならば次は○○と入れ替えてみては...
この結果は地図付きで本に載っているのであなたの目で確かめて欲しい。
私は見た瞬間爆笑してしまい、買う予定もないのに即レジへ走ってしまった。

本著は「四国はどこまで入れ替え可能か」についてひたすら考えている本ではない。
こんなことを真剣に考えたところで社会に何のプラスももたらさない。
このように誰も想像しないような事象にスポットを当て、
それをナンセンスな発想や解釈で楽しんでいくのが本著の主旨である。

漫画のようで漫画でない視覚的な演出が全編において成されており、
じわじわと漢方薬のようにこみ上げてくる笑いは新鮮そのもの。
このおもしろさは文章ではなかなか伝えきれないものがあるので、
ぜひ実際に手にとってそのパラレルな世界を体感して欲しい。

都会のストレスから逃れて脱力したいときにオススメの一冊。

2008年4月

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