インターネットの最近のブログ記事

ISBN 978-4-334-03385-9次世代ウェブ グーグルの次のモデル
佐々木 俊尚
光文社 2007-01-20
[光文社新書 285]

by G-Tools


以前、BOOK REVIEW 25 梅田望夫『ウェブ進化論』にて
Googleが切り開くWeb2.0の青写真について紹介した。

GoogleやAmazon、Wikipedia、mixi、YouTubeなど
Web2.0は私たちの生活にすっかり馴染んだ存在となったものだ。
この「AKEINS THE WATERS」もWeb2.0の集積の上に書評を発信している。

もちろんWeb2.0が進化の最終形ではない。
シリコンバレーや六本木ヒルズでは今この瞬間も秒単位で
Googleを凌駕する新しいビジネスモデルの構築に苦心惨憺している。
ネット革新は早くもWeb3.0のステージへと突入しつつあるのである。

新しい時代のビジネスチャンスを制するのは一体誰か。
Web2.0の可能性に果敢に挑む中小のベンチャー企業をルポし、
いつまでも"地主"に安住する大企業に警鐘を鳴らし、
誰もまだ見ぬWeb3.0の全体像を抉り出す本書の切れ味は爽快そのものだ。

本書では現状のWeb2.0ビジネスについて以下のように評している。

「Web2.0ビジネスで最も重要なのは、
 インターネットの巨大なデータの海から、
 いかに有用な情報を的確に拾い上げるかという
 UFOキャッチャー機能である」 (p195)

リアル社会までもが対象となった検索技術や
あらゆるものに対するソーシャル化もすべては「UFOキャッチャー」だ。
そして今後この「UFOキャッチャー」の精度をいかに高め、
いかにリアル世界へ進出していくかが成功へのカギとなるだろう。

例えばGoogle AdSenceという検索連動型広告がある。
Googleで何かを調べれば画面右側に自動的に広告が出てくるが、
これは従来の広告の概念を根底から覆し、
「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」マス広告は大打撃を受けつつある。

ただ、現状では表示される広告が必ずしもフィットしているわけではない。
精度アップのための技術面での覇権争いは各社が鎬を削っている状態だ。
心理状態や精神的志向が広告に反映されたり、
動画に自動的にタグが挿入されてリアルタイムで検索可能になるためには
もう少し時間がかかってしまうかもしれない。

そしてソーシャル化も忘れてはならない現代の潮流だ。
mixiでは人間関係や趣味・嗜好がソーシャル化され、
ソーシャルブックマークや音楽や映像で繋がるSNSなど
共有できるものはとことん共有する時代になってきた。

これに「リアル」との融合が本格的に進んでいったら
数年後にはとんでもない革命が日常レベルで起こるに違いない。

オンラインゲームのゲーム内通貨が「円」と兌換可能となり、
預金がソーシャル化され、自宅の様子は生中継で共有され...
そんな世の中はユートピアなのか?はたまたデストピアなのか?

Web2.0の今後を考える上でもぜひ読んでおきたい一冊。

ISBN 978-4-480-06285-7ウェブ進化論-本当の大変化はこれから始まる
梅田 望夫
筑摩書房 2006-02-10
[ちくま新書 582]

by G-Tools


Google(グーグル)というサイトがある。
検索窓しかないシンプルなTOP画面で有名なこのサイトを
インターネットユーザーで知らない人はいないはずだ。

実はこのGoogle。とんでもなくすごい会社なのだ。
時価総額は日本円にして実に17兆円。あのYahoo!の4.5倍である。
たった数年でマイクロソフトに次ぐ世界第2位のIT企業にまで成長した。

ではGoogleの一体何がすごいのか。
この「すごさ」をWeb2.0の観点と絡み合わせて
ダイナミックな筆遣いで著したのが本書である。

Googleは 「徹底したテクノロジー志向を貫く世界初のメディアビジネス」 (p93) で、
「知の世界の秩序を再編成すること」 (p54) を壮大な理念として掲げている企業だ。

つまり人間の介在を徹底的に排除して、
あらゆる知の世界(この世に存在するすべての知的資源)をデータベース化し、
それをユーザーがいつでもどこでも自由に無料で引き出すことのできる環境を
遍く整備して経済活動へと昇華させようというのがGoogleの戦略である。

これはものすごく革新的なことである。いや、脅威かもしれない。
Googleの検索網は今や本の中身や衛星写真にまで及んでいる。
これがもし公的機関と連携したら更に「世界政府」的な色を強めていくに違いない。

電子マネーとPOSシステムがオープンソースで検索可能になれば
「11月1日 Kei ローソン 明細」と調べたら誰が何を買ったかがバレるだろう。
SNSと写真共有サイトと住基ネットが一つのシステムで検索可能になれば
「Kei サザン 大阪」と調べたら私の写真と住所が瞬時に出てくるかもしれない。
しまいにはWikiの項目が個人個人に振り分けられ、
mixiなんかとは比べ物にならないくらいの個人情報量を持った"まとめサイト"を
「自動収集」で本人の知らぬ間に電脳社会で作られる...

別にこれは夢では何でもない。Googleの究極的な目的地はそこなのだ。

そんなGoogleの理念を支えているのが巷で話題の「Web2.0」の概念である。
「Web2.0」とは本書から定義を拝借すれば
「誰もが自由に、別に誰の許可を得なくても、
 あるサービスの発展や、ひいてはウェブ全体の発展に参加できる構造」 (p120)

であり、Linuxに代表されるオープンソースが代表例として挙げられるだろう。

本書では様々な事例を用いて本格的な「Web2.0」社会の到来を解説し、
未だに「Web1.0」的な概念に安住する日本のネット社会に警鐘を鳴らしている。
そして以下のように"忠告"している。

「ヤフー・ジャパンや楽天は、孤島の魅力を高めるだけの今のやり方を改めて、
 「サービスであると同時にプラットホームでもある」Web2.0化を遂行し、
 島のいたるところに誰もが勝手に港を作ったり橋をかけたりする自由を
 担保するような大政策転換を果たさなければならないのである」 (p133)

ここまで書いてくればGoogleとYahoo!が
全く別の経営理念を有しているのをおわかりいただけるだろう。
そう、Googleは今までの社会の枠組みを徹底的にぶち壊し、
全く新しいビジネスプランとライフスタイルを構築しようとする破壊者なのだ。

その破壊者に対して本書の著者は概ね好意的に受け止めている。
私ももはや限界にきている重厚長大な富の分配メカニズムに一石を投ずる
Googleの去就に密かに期待を寄せている人間の一人だ。

Web2.0というのはネット性善説の上に構築される概念であり、
それが人間をも凌駕するほど万能なものかは賛否分かれるところだ。
「ネットの負の遺産処理」において法的整備すらされていない日本が
いきなり「Web2.0」という劇薬を注入しても果たして機能するのかどうか。

Web2.0時代の未来について真剣に考えたいあなたにオススメの一冊。

2008年4月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

最近のブログ記事

最近のコメント

Creative Commons License
このブログのライセンスは クリエイティブ・コモンズライセンス.
Powered by Movable Type