![]() | 組織デザイン 沼上 幹 日本経済新聞社 2004-06-15 [日経文庫 F40] by G-Tools |
組織の中で仕事に従事する場合、キーポイントとなってくるのが組織像である。
どんなに真面目に働いていても組織デザインがきちんと成されていなかったら水の泡であるし、
良い組織は社員のモチベーションを大いに刺激して、会社の成長に一役買う結果となる。
組織の理想的なカタチを模索する学問分野を一般に「組織論」と言い、
本書はその「組織論」を理解するために必須の一冊だ。
例えばお弁当をライン生産する会社に100人の社員がいるとしよう。
もし仮に組織という概念が全くなく、社長から平社員まで全員個人プレイで弁当を作り出すとどうなるか。
一人ずつ自前で米を炊いて、一人ずつ箱に詰めて、それぞれが店頭に立って売りさばいていく...
...恐ろしく非効率的であり、あまりにも無駄が多すぎる。会社が潰れるのも時間の問題だ。
なので余程の例外を除いてどんな組織でも"分業"が行われているのが一般的である。
仕込みをする人、おかずを配置する人、梱包する人、運送する人...
分業することによってそれぞれの組織に所属している人たちは各々の仕事に集中することができ、
その結果として専門性や効率性がアップし、会社の生産性はどんどん上がってゆく。
しかし組織はそんな単純なデザインだけでは上手く機能しない。
本書は対象が機械でなく人間であることに特に留意しながらわかりやすく説明を付け加えている。
機械ならば並べたり繋げたりするだけでシステマチックに組織が機能するのだが、
(それでも突然の事故や耐用年数といった問題は生じてくる)
人間の場合は感情の要素が入り込んでくるので更に複雑になってきてしまうのだ。
仕事の負荷があまりにも大きすぎれば不満が蓄積されて現場の士気は低下してしまうし、
人間である以上は体調による波は避けられないし、同僚との人間関係も生産力を左右する重要な要因となってくる。
そこでそんな不確実性な事象に対処すべくヒエラルキーやグルーピングといった組織デザインが成されるわけだが、
教科書的な方法をもってしても実は答えが存在しないのが組織論の大きな特徴であると言って良いだろう。
市場の需要や社員の能力によって理想とされる組織形態はかなり異なってくる。
市場に追いつけ追い越せだけで組織をデザインすると長期的な視野を失ってしまい、
また例外事象に対処するために管理職をやみくもに増やしても組織が硬直するだけだ。
どういった場合にどんな組織が最も有効と考えられるのか--
最新の研究を踏まえてわかりやすく組織論を解説する本書はまさに必読モノだ。
出来るだけバランスを保ちながら、柔軟にグルーピングしていくことが組織デザインの極意であり、
これは特に税金の無駄を垂れ流す自治体がもっと考えなければならない至近な課題である。
「組織デザイナーは視野を広くもつと同時に、
多様な手段を節操なく組み合わせる折衷主義者の志向性をもたなくてはならない」 (p280)
自分が所属する組織の構造を知りたいあなたにオススメの一冊。



最近のコメント
ほめ屋 on BOOK REVIEW 131 五木寛之『夜明けを待ちながら』: はじめまして。 私も 2008:02:16:02:48:31
Kei on BOOK REVIEW 172 岡田光世『ニューヨークの魔法は続く』: >kozyさん 書き 2008:02:11:18:11:07
kozy on BOOK REVIEW 172 岡田光世『ニューヨークの魔法は続く』: 面白そうな本ですね。 2008:02:10:21:15:31
Kei on BOOK REVIEW 154 米原万里『米原万里の「愛の法則」』: >サザン大好きさん 2007:09:26:21:16:30
サザン大好き on BOOK REVIEW 154 米原万里『米原万里の「愛の法則」』: 以前ぜひ米原万里さ 2007:09:26:20:48:35
Kei on BOOK REVIEW 144 豊下楢彦『集団的自衛権とは何か』: foresight1 2007:08:19:01:42:25
foresight1974 on BOOK REVIEW 144 豊下楢彦『集団的自衛権とは何か』: foresight1 2007:08:18:08:50:05
Kei on BOOK REVIEW 120 阿辻哲次『近くて遠い中国語』: >ゆちゃさん そうで 2007:06:14:21:52:05
ゆちゃ on BOOK REVIEW 120 阿辻哲次『近くて遠い中国語』: 確かに音重視なんだけ 2007:06:14:09:08:27