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ISBN 978-4-12-101880-9近くて遠い中国語 日本人のカンちがい
阿辻 哲次
中央公論新社 2007-01-25
[中公新書 1880]

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今、世界的に中国語ブームが到来している。
政治的にも経済的にも中国の存在感は年を追うごとに増していっており、
来年の北京五輪、2010年の上海万博とビッグイベントもこれから目白押しだ。

中国語も日本語も漢字を使うという点で似たような言語だと思いがちだが、
実際はかなり違っていて筆談で意思疎通を行うことは不可能に近い。
例えば中国語では「簡体字」と言ってものすごく易化させた字体を国家が規定しているのだが、
日本人や台湾人からすると字体を崩しすぎていて何が何だかわからない。

また文法も日本語とは根本的に違っていて、
発音に至っては日本語に存在しない母音もあることからかなり難しい。

それでも私たち日本人は"なんとなく"中国語は英語よりも習得できそうと思いがちである。
本書は中国語の歴史を紐解いて日本語とはいかに違う言語であるかを立証し、
それを踏まえて中国語の謎と魅力に迫った日中友好の橋渡しとなる一冊だ。

日本語と中国語の違いで最も有名なのが日中同形異義語の存在だろう。
よく知られているのは「手紙」「汽車」「老婆」などの日中間の意味の違いで、
(中国では「手紙」=トイレットペーパー 「汽車」=自動車 「老婆」=妻)
これはマニアックにいくつか覚えておくと話のネタとして最低5分は場が持つ。

また中国語はビジュアル重視の言語であることも忘れてはならない。
例を挙げると日本語では犬と猫は同じ単位(「匹」)で表すことができて、
なぜ同じ単位を使うかは別に深く考えなくとも感覚でわかるものだが、
中国語では犬と川がなんと同じ単位(「条」)を使うのである。
これは犬も川も細長いということから単位が同じになるそうだけれども、
日本人的な感覚でいくと実にわかりづらい。

さらにわからないのが音が一緒ならば意味は無視という当て字の存在である。
日本語だとサプリメント=「栄養補助食品」 ヒートアイランド=「都市高温化」など
言葉の持つ意味を考えながら外来語から日本語へと置き換えていくのだが、
中国語ではニュートン=「牛頻」 バレンタイン=「瓦倫丁」など
意味は完全無視で同じ音を持つ中国語へと置き換えていく。

これだけ見ても日本語と中国語では随分と性格が違うことがおわかりいただけると思うが、
本書ではなぜこんなにも違うのかということをさらに突っ込んで考察を加えている。
また今の現代中国語が出来上がるまでには中国政府も様々な政策を施行しており、
その歴史も詳しく知ることが出来るので必見だ(巻末には年表付き)。

今後、日本にとって中国はますます大切な国となってくるだけに、
隣人と円滑にコミュニケーションを図るためにも中国語のニュアンスはぜひ心得ておきたい。

チャイニーズの世界へ誘う一冊。

2008年4月

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