![]() | 娘心にブルースを 原 由子 ソニー・マガジンズ 1998-04-25 by G-Tools |
サザンオールスターズのファンになりたての頃、私はJ-POPに狂酔していた。
そんな当時の私の愛読誌はJ-POP総合誌の『WHAT'S IN?』で、
どんなマイナーなアーティスト記事でも毎号隅々まで事細かく読んでいたものだ。
その『WHAT'S IN?』にて'97年の終わり頃から我らが原由子の連載が始まった。
連載といってもソロ活動の宣伝を兼ねた3回ぽっきりのライトな企画だったのだけれど、
愛読誌からの思いがけぬプレゼントにファンになりたての私は大いに舞い上がったのを今でも記憶している。
原由子といえば桑田佳祐の愛妻であり、言わずと知れたサザンオールスターズのキーボーディストだ。
神経質な桑田とは対照的に大らかでのんびりした性格の原はサザンにとってまさに"紅一点"の存在であり、
『マンピーのG★SPOT』『エロティカ・セブン』といったエッチな曲も彼女の存在によって淫靡さが見事に中和されている。
桑田がハゲヅラを被って卑猥なポーズと共に歌っていても不快感を感じさせないのは
やんちゃな子を見守る原坊の母親的な存在が大きいといっても決して過言ではない。
その連載の最後で原坊がエッセイ集を出すという告知があった。
タイトルは『娘心にブルースを』。桑田佳祐の処女作のタイトルだ。
(もっとも桑田自身は『茅ヶ崎に背を向けて』が処女作であると著書で公言しているが)
本書は主に著者の自叙伝的な内容で構成されており、
幼年時代から近況に至るまでの約40年の人生が時系列順に凝縮されている。
現在のところ唯一のエッセイ集で、内容はこの本のための全編書き下ろし。
2002年7月には文庫化もされていて、単行本にはない一編が書き加えられた。
途中には若干デリケートな話題も出てきたりするのだけれど本書を貫くトーンは総じて明るく、
あまり回想したくないであろう辛い思い出も文中ではすべて笑い話に変換されてしまっている。
原由子の持つ天性のポジティブさが文体からひしひしと伝わってきて、
ファン以外の方がこの本を読んだとしてもかなりの好感を抱くに違いない。
音楽活動に関する本書収載のエピソードは以前からファンに広く知られたものが多いのだが、
(ex 「原由子...mind」「鎌倉物語レコーディング」etc.)
桑田夫妻のプライベートなエピソードは本書で初めて公開されたものが多い。
中でも私がかなりおもしろいと思ったエピソードはp166からの「結婚!」だ。
話の詳しい流れは原坊独特の文体から読み取るのがベストだと思うのであえてここでは記さない。
が、このエピソードを読んで桑田佳祐と原由子はなんと類い希なる素敵なカップルなんだろうと改めて認識したし、
そんな二人がいるサザンオールスターズのファンであることを心から誇りに思った。
一人のミュージシャンとして、一人の女性として、一人の母親として...
原由子の魅力が存分に詰まった一冊で、ぜひ一度手にとって読んでみていただきたい。
あなたの疲れ切った心にきっと潤いをもたらすことになるだろう。
負けるな女の子!な一冊。


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