BOOK REVIEW 122 岩波文庫編集部編『読書のすすめ』

ISBN 978-4-00-350015-6読書のすすめ
岩波文庫編集部/編
岩波書店 1997-10-16
[岩波文庫 別冊11]

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それほど多趣味というわけでもない私だが、胸を張って趣味と公言しているものが二つある。
一つは『サザンオールスターズ』で、これは私が作るサイト『AKEINS』をご覧いただければ
いかにサザンを愛し、生活の中心にサザンを据えているかがおわかりいただけるはずだ。

もう一つは『読書』である。とにかく本を読むことが大好きなのだ。
しかし私の場合は読む動機が他の人とは若干違うような気がしてならない。

何か知識を得たい、物語の主人公に共感したい、好きな作家の本を読みたい...
人が本を読む動機にはきっといろいろなものがあるに違いない。
もちろん私だって知識を得るため、文学の世界に浸るため、流行を追うためなど様々な動機があるのだが、
いかなる本を読むときでも共通している動機が一つある。

それは"思い出を作るため"だ。

基本的に読み返しはせず、借りるよりも買う派な私にとって本は「一期一会」な存在だ。
人間の友達は時に傷つけ逃げられ愛憎にまみれてしまうこともあるが、
本は勝手に逃げていかない上にずっとそばにいてくれる。
好きなときにしゃべり相手になってくれるし、悩み事も嫌な顔一つせずに聞いてくれる。
しかも無数のタイプの本が世の中には流通しているので、私にとって書店はさながら出会い系サイトのような場だ。

本棚を眺めてみると内容は無論のことながら読んでいたときの情景も同時に回想されていく。
この本はオール明けの電車で読んでいた、あの本は大雨が降っている時に部屋で読んでいた、
あの時にこの店で買ったのがこの本だ、あの人にプレゼントでいただいたのがこの本.........

その一つ一つの事実が私の生きた証となり、かげがえのない思い出へとつながっていく。
なのでどこかへ外出するときにはバッグの中に最低一冊は必ず常備し、
少しでも時間があれば場所を選ばずに一字でも読み進めるようにしている。
様々な場所に本との思い出を刻み込むためだ。

さらに本との出会いを大切にするために出来るだけ同じ所では買わずにいろんな書店で買うことにもしている。
(幸いにも本には再販制度があるため、全国どこで買おうが値段は同じ)
ワンクリックでは本との信頼関係は築けないし、図書館からの借り物では自分だけのモノに出来ない。

...このように本について書き出したら我を忘れて止まらなくなってしまうのだけれども、
では他の人は本・読書についてどんな考えを抱いているのだろう。
今回ご紹介する本書は各界の著名人が「読書」をテーマに書き綴ったエッセイ集で、
どのエッセイも大変興味深く、人生の指針になるといっても大袈裟ではないくらい有益な一冊に仕上がっている。

中でも非常に感銘を受けたのが経済学者の宇沢弘文氏が寄稿したエッセイだ。
少々長くなるが氏の文章から一節を引用したい。

「書物は、人類が生み出したもっともすばらしいものである。
 そこにはもっとも高貴な人間精神が秘められ、
 すべての文化、学問、思想がもっとも純粋なかたちでそこに凝縮されている。
 書物は、私たちがおかれている小さな世界を超えて、遠い過去にさかのぼり、
 広い世界に足をふみ入れることを可能にする。
 また人間の精神の奥深くまで入って、人類がこれまで蓄積してきた膨大な知識、
 思想、技術を私たちの前に提示する」 (p40-41)

その他にもたくさん引用したいくらい本書には"いいこと"が実に多く詰まっている。
本を読まなくたって生きる上で支障をきたすことは全くないが、
文化なき人生、教養なき人間に夢や理想は語れるだろうか。私には甚だ疑問だ。

読書通に捧ぐ一冊。

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