![]() | 天に響く歌 歌姫・本田美奈子.の人生 ワニブックス 2007-05-20 by G-Tools |
2005年11月6日、一人の歌姫が天に召された。
彼女の名は本田美奈子.。日本のミュージカル界を代表する至高の歌手だ。
同年1月より急性骨髄性白血病で闘病生活を送っていたが、
病魔に勝つことは出来ずに38歳の若さで力尽きてしまった。
本田さんが天使になった日、実は私も病魔と闘っていた。
本来ならば外泊予定が出るはずだったのが抗ガン剤の副作用で高熱を出してしまって中止となり、
気分がBlueなまま憂鬱な日曜の午後を過ごしていたのだけれども、
そんなときに病室に届いた信じがたい訃報はかなりの衝撃が走ったことを今でも覚えている。
1983年生まれの私はアイドルであった本田美奈子.をリアルタイムでは知らない。
それどころかミュージカルやクラシックで目覚ましい活躍をされていたことも誠に不遜ながら存じ上げなかった。
(だが私自身はサザンファンであるので『クラウディア』での勇姿は目に焼き付いている)
そんな本田さんの生前のことをもっと知りたいと思い先日発刊された本書を手にとってみたわけだが、
彼女がいかに真っ直ぐに未来へ向かって生きていたかが痛いほど本文からよく伝わり、
読んでいて私は深い感銘を受けて、この世に神はいないのかと改めて嘆いてしまったものだ。
本書は志半ばで病に倒れた歌手・本田実奈子.の人生を綴ったオフィシャルな伝記であり、
しっかりとした取材に基づいて構成された内容はドキュメンタリーとしても完成度が高い。
闘病記に関しては比較的さらりとセンテンスが流されているので、
彼女がどんな思いで病と向き合っていたのかは残念ながら深く酌み取ることが出来ないが、
発病前の彼女の苦悩や活躍を知るにはまさに打って付けの一冊だ。
半端ではないプロ意識、極限まで努力を怠らない頑張り屋、誰からも愛される人柄、
...本当に歌を愛していて、何に対しても貪欲な彼女の生き方は
一人の歌手として、一人の女性として、一人の人間として、心の底からリスペクトできる。
TRFのボーカルであるYU-KIは本田さんが遺したものについて本書の中で次のように語った。
「あきらめないこと。仲間を大切にすること。自分がこうなりたいと思ったら努力し続けて、
ここが頂点、完成というのを自分で作らないこと。そして、笑顔ですよね」 (p157)
どうしてこんなに類い希なる才能に恵まれた彼女が死ななければならなかったのだろう。
それほど罹った病が難しい病気だったわけだけれども、そんな中でも彼女は最期まで負けなかった。
復帰を夢見て病室の中でも発声練習やストレッチは決して怠らなかったという。
『私が歌い続ける意味を 今、見つけました!!
そうです 歌を通して太陽になること!!
とてもむずかしい事だと思いますが、
太陽の様に みなさんに 光を与え続けられるように
頑張りたいと思います。心を込めて......
本田美奈子.』 (p179)
もう彼女の歌声を聴くことはできない。実に惜しい。そして悔しい。
本田さんが私たちに命を持って伝えたことは決して忘れてはならないし、
今生きている幸福をこれからも大切に育んでいかなければならない。
"生きてるだけで丸儲け"...それが人生なのだから。
永遠の歌姫の人生が凝縮された一冊。
きっとあなたにも本田美奈子.の熱い思いが届くはず。


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