![]() | 爆笑問題の世紀末ジグソーパズル 爆笑問題 集英社 2001-08-25 [集英社文庫 は-29-1] by G-Tools |
お笑いコンビの中で一番好きなのが爆笑問題だ。
好きというよりもあらゆる意味で自分の写し鏡といったほうが良いかもしれない。
特に太田光には共鳴するものがものすごくあって、憧れている芸人のうちの一人だ。
(ちなみに爆笑問題もサザンオールスターズの大ファンとして知られている)
爆笑問題の魅力といえばなんといってもシュールな毒を盛った社会風刺だろう。
今のお笑いというのはネタがとことん土着的で笑いのベクトルも常に下向きなのだが、
アイロニカルかつラディカルで常に上向きな笑いを突き刺す爆笑問題は希有な存在であり、
その芸風は言葉や文化における東西の違いを超えて私を虜にした。
本書はそんな爆笑問題の魅力が最もコンパクトに凝縮された一冊ではないかと思う。
政治・経済から社会・流行・学問に至るまでのホットでナウい(死語)項目が
ユーモア溢れる漫才風な切り口からイミダス風に解説されており、
ここまで語れる芸人は東西合わせても爆笑問題しかいないだろう。
それほど政治色も強くなく、一つのテーマもコンビニ的に短く完結するので非常に読みやすく、
ダラダラと冗長的な構成となっていないのも本書の核を占めるポイントだ。
が、もともと1999年に刊行された単行本を文庫化したのが本書なので、
(1997-1999に雑誌で連載されていたものをまとめたもの)
今読むと扱われているネタが若干古くなってしまっているのは否めない。
が、山一證券廃業や香港返還は今や完全に過去の出来事となってしまった感がある一方で、
セクハラや医療ミスの問題は現在でも深刻な様相を呈している社会問題であり、
'90年代風の皮肉が悲しいことに現在でも通じてしまう。
ちなみに"著者:爆笑問題"となってはいるものの基本的に太田光が本書に限らず筆を握っている。
そのため理性を逸した太田の暴走や明らかに放送禁止なネタが多用されているものの、
かといって最後までバカ騒ぎで終始していないところも本書の良いところだ。
映画や文学についてのマジ語りは単なるお祭り芸人とは一線を画していて知的でかっこいい。
「日本を変えたいのなら政治家になるよりお笑い芸人になったほうが良い」
太田光は常々このような趣旨の発言をしているが、その真意が本書を読めば改めてひしひしと伝わってくる。
鋭い洞察力とユーモアを持ったお笑い芸人のほうが利権に雁字搦めにされた政治家より格段と役に立つのではないか---
病気に笑いが必要なように、政治・経済・社会に一番必要とされているのは有能な政策よりも実はお笑いなのかもしれない。
笑いは時に薬になり、時に毒になり、時に神となるのだから。
ニュースを見ながら笑いたいあなたへオススメの一冊。


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