![]() | ジャンピング☆ベイビー 野中 柊 新潮社 2007-03-01 [新潮文庫 の-10-3] by G-Tools |
かつてシェイクスピアが『人生は選択の連続だ』とハムレットにて表現したように、
今ここに生きる私たちの人生もすべては選択の上に成り立っている。
進学、就職、結婚、家や車の購入などといった大きな選択から
今日の晩ご飯、明日起きる時間などの小さな選択に至るまで
生きている限りは弥が上にも私たちは何かを選択し続けなければならない。
しかし選択は必ずしもベストの結果を生むわけではない。
「あのときあの人を選んでいたら...」「あの家にしておけばよかった...」
きっと誰しもに今となっては悔いたい"選択"があるのではないだろうか。
が、いくら悔やんでも選択をリセットすることができないのもまた現実である。
いつまでも過去の失敗に亡霊の如く囚われ続けていても何の前進もない。
人生は、もう戻らない。
でも人生は、終わらない。
本書は今までの人生と選択を悔いがちな30代半ばの男女が
それでも今を肯定して人生を楽しもうとしている或る日の情景をスケッチした物語である。
主人公の鹿の子は元夫のウィリーと共に江ノ電に乗っていた。
まだ二人が夫婦だった頃に飼っていた愛猫:ユキオの墓参りに行くために、
腰越駅の近くにある動物霊園へとお参りに行くのがこの日の目的だった。
今は鹿の子にもウィリーにも別のパートナーがいる。
だけど正直言うとお互いともあまり関係は上手くいっていない。
そこで改めて二人の出逢いから今までの足跡や思い出を振り返ってみる。
あのとき、カナダへ行かなかったら鹿の子とは別れていなかっただろう...
なぜカナダの大学院へ行ってしまったのだろう...
あの日ユキオを拾ってこなかったら自分はどうなっていただろう...
過去を振り返ってみるとなんだか筋の通っていない矛盾に満ちた選択ばかりをしてきた。
でも今自分という個体はここに生きている。心臓は確実に鼓動を連ねている。
世界に目を向けたら何事もなかったかのように今日も世の中は動いている。
"過去はリセットできないけど、きっと受け入れられるようになる"
何かいいことが明日あるかもしれない。
期待しちゃっていいかもしれない。
今までいろんなことがあったけど、
もうちょっと頑張ってみようっか...
「今」をほんのりながらも肯定してみたいという気持ちに駆られる一冊。


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