![]() | 老人と海 ヘミングウェイ/著 福田 恒存/訳 新潮社 1966-06-15(改:2003-05-30) [新潮文庫 へ-2-4] by G-Tools |
今、世界各地では「マグロ」が何かとブームだ。
日本でも延々とマグロ漁をする番組がテレビのゴールデンタイムに放映され、
漁師たちが数百万円はするであろう巨大なマグロと連日死闘を繰り広げている。
マグロ漁は「鍛え抜かれた男の仕事」とよく言われるように
肉体的にも精神的にも非常にハードな仕事だ。
釣れる確証もなければ、一つ間違えると命の危険も伴い、
その男気溢れる海のロマンはいつの時代も人々を魅了し続けてきた。
本日ご紹介するのは半世紀前に発表されたマグロ漁を描いた一作だ。
本作は米国の作家:ヘミングウェイの1952年の作品で、
ノーベル文学賞も受賞した世に言う"名作"である。
内容は「じいさんが一人で巨大マグロを釣っている」"だけ"の物語で、
良くも悪くもアメリカ文学の猪突猛進さが色濃く滲んでおり、
この一本気な世界観は読者にとって好きか嫌いかはっきりと分かれるところだ。
物語的には特に何の捻りもなく、いささか単調と言っても良いくらいだが、
文豪ヘミングウェイの筆力がずば抜けて素晴らしく、
今にも水しぶきがかかってきそうなダイナミックな情景描写には思わず息を呑んでしまう。
物語に出てくる老漁師が相手にするのは法律も道徳も通じない自然の海世界だ。
たとえ鮫が人間に襲い掛かったとしても鮫だって自らの生活のために漁をしているのであり、
人間と全く同じ動機である限りは一方的に鮫を弾圧する資格なんて人間にはない。
いつから人間は自然界で一番偉くなったのか-。
海の世界では人間が完全に鎮圧しているように一見見える。
どんなに屈強な魚が襲ってこようが、人間にとってみればミサイル一発でジ・エンドな存在だ。
しかし魚を食べるという行為があまりに日常化しすぎてしまって
我々は自然に対する畏怖の念を忘れてしまってはいないだろうか。
老漁師は棍棒だけを武器に持ち、たった一人で闘いに挑んだ。
だからこそ身に沁む自然の荘厳さ。ヘミングウェイの圧倒的な表現力はまさしく身震いモノだ。
今晩マグロを食べる前に読んでみたい一冊。


やっぱりマグロを穫るプロセスを飛ばすと
何か大事な事を忘れてしまうよね。
特に今のような便利な世の中だったらなおさら。
できる限り物事の文脈や背景を読める男になりたいな。
>daikiくん
コメントどうもありがとう!
そうだね、普段何気なく店に陳列されているマグロには
そこに至るまでにいろいろな物語があるわけです。
自然の厳しさを知らなければマグロも捕れません。
今後も随時更新していきますので、
これからもずっとずっとよろしくねぇ♪