![]() | 枕草子REMIX 酒井 順子 新潮社 2007-02-01 [新潮文庫 さ-23-7] by G-Tools |
「春はあけぼの やうやう白くなりゆく山ぎは
少し明りて紫だちたる雲の細くたなびきたる。」
これは今から約千年前に書かれた『枕草子』の有名な書き出しだ。
『枕草子』は清少納言によって執筆された日本最古の随筆集であり、
日本人ならば一度は読んだ(読まされた)ことがある名作と言ってよいだろう。
では『枕草子』には一体どんなことが書かれているのだろうか。
冒頭の書き出しはいわば"花鳥風月"について書かれているわけだが、
このイメージが強すぎて全篇に渡って何か高尚なことが書かれているに違いないと
考えておられる方もいるかもしれない。
しかし実際は意外にもそうではないのである。
「あいつマジむかつくー!!」「あの子って性格悪くない?」
「私って匂いフェチなの!」「やっぱりオトコは顔に限る!」...etc.
『枕草子』に書かれている世界は実は現代のブログとそう変わりがない。
極論を言えば「しょこたんぶろぐ」を知的に装飾すれば『枕草子』になってしまう。
本書ではそんな『枕草子』をユーモア溢れる考察で再構築し、
学校では決して教わることのなかった千年の歴史が放つ魅力を蘇生させている。
物語やエッセイというのは「読む」のではなく「感じる」ものだと私は思っている。
有機的に結びついた言葉と言葉の「裸体」が織り成すシンフォニーこそが文学なのだ。
「言霊」という言葉が日本にあるように、言葉そのものに「個」を持った遺伝子が宿っている。
なのに今の学校で教わる古典は小難しい文法用語を並べて言語までをも解体していき、
おまけに「四季折々」「諸行無常」などといった老境ワールドを
あろう事かBoys&Girlsの感性に押し付けようとしている。
そんなことをしていたら若者にそっぽを向かれるのも当然ではないか。
だからこそこういった"ハケンの品格的咀嚼"は非常におもしろい。
そもそもたとえ千年前といっても同じ日本人であることには変わりはないはずだ。
オトコとオンナの関係は文明の発展によって社会的には変化が生じたけれども、
生理的な関係なんて全然変わっていない。恋愛のイロハの基本は平安時代と同じ。
平安の女性達も「おしゃれ」を楽しみ、「男」について論じ、
「老い」を嘆き、「友情」に悩み、「恋」に燃えていた...
そう、『枕草子』は私たちにとって大変身近なエッセイ集なのだ。
この本を読めばあなたの古典文学に対する価値観が一変すること間違いなし。
巻末には清少納言に縁のある土地を網羅した京都観光ガイドも付されているので、
本書を持って清水寺や下鴨神社へ行ってみるのもいいかもしれない。
この春、オススメの一冊。


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