BOOK REVIEW 58 齋藤孝『教育力』

ISBN 978-4-00-431058-7教育力
齋藤 孝
岩波書店 2007-01-19
[岩波新書 新赤版1058]

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みなさんは「いい先生」に出逢ったことはあるだろうか。
私は中学生のときにある「いい先生」と出逢うことが出来た。

中学3年生のとき、いろいろと悩める思春期を過ごしていて、
私は自分に失望して、何事も悲観的に存在を捉えていた。
今から思えば本当に笑っちゃうくらいのことなのだけれども、
でも当時は真剣に悩んでいたし、それが世界のすべてだとも思っていた。

そのとき、ある社会科の先生が私をとても心配してくださって、
ご自宅のある隣の市から車で頻繁に家の近くまで駆けつけてくださった。

昼食を一緒に食べたり(よく奢っていただいた)、
実家の近くに海があって(海といっても漁船が行き交う港湾だが)、
そこでずっと日が暮れるまで自分の悩みを聞いてくださったりして、
高校受験のときまで大変お世話してくださったものだ。

あれから9年経った今でもこの「いい先生」のことはすごく心に残っていて、
当時の未熟さを詫びたい気持ちと感謝の気持ちで今はいっぱいである。

さて本書では「いい先生」を次のように定義付けしている。

「教師に求められるものを大きく分ければ、
 専門的力量と人格的魅力になろう。」 (p40)

そして「いい先生」の"条件"を教育方法論的に書き綴ったのが本書だ。
教育問題というのは複合的な要素が相互に絡み合っているのだけれども、
本書では「教師」に焦点を当て、教育の内層に迫っている。

中でも読んでいて特に印象に残ったのは
「学び合っているその時間自体を素晴らしい祝祭空間だとして、
 喜びを感じられることが基本」 (p130)
 という箇所だ。

教師→生徒という上意下達な"知識押し付け"ではなく
教師⇔生徒という双方向的な"学舎的精神"が
結果的に教師の人間力向上にも繋がっていって、
広い視野で見れば社会も変えていくのではないか、と。

予備校にいるチョーク芸人は確かにおもしろくてわかりやすい。
大学にいる教授は専門的な知識にはとても優れている。
でも「人間力を育む教師」として見てみると何かが足りない気がしてならない。

「いい先生」になるにはどうしたらいいのだろう--

教師が起こした事件を新聞で見ても全く驚かなくなった。
そんな世の中を変えるためにもまずこの本で「教育力」について考えてみたい。
あなたの周りの先生は果たして「いい先生」なのだろうか。

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