![]() | 「小さな政府」を問いなおす 岩田 規久男 筑摩書房 2006-09-10 [ちくま新書 616] by G-Tools |
今、日本では「小さな政府」に向けて様々な改革が進められている。
「小さな政府」とは政府ができるだけ市場へ介入せず、
民間に任せて経済を活性化していこうという政策のことだ。
さて「小さな政府」になることは日本にとって果たして良いのか悪いのか。
そんな疑問に真っ正面から明晰に分析したのが本書である。
本書ではまず始めに「小さな政府」を理解するために必要な
マクロ経済学の基礎理論を数々の例を用いて紹介している。
そして「大きな政府」から「小さな政府」へと転換したイギリスや
「大きな政府」の代表的存在であるスウェーデンを例にとって解説し、
最後には日本の「小さな政府」への挑戦、すなわち一連の小泉改革について
様々な角度から功罪を総点検して、積極的な政策提言を行っている。
日本が現在どんな経済政策を掲げているのかが体系的に理解でき、
章構成が講義シラバスそのものなので、大学生にも親しみが持てる良書だ。
「日本は世界で唯一成功した社会主義国」とよく言われるように
政府・自民党は「国土の均衡ある発展」や「手厚い福祉国家」を目指して
全国遍く[結果の平等]網を敷き、一億総中流社会の構築に成功した。
このやり方が予想以上に上手くいきすぎたため、
バブル崩壊後の日本は「夢よもう一度」的な迷走を続けてしまうことになる。
極めつけは小渕内閣でのケインズ理論を悪用した政策の暴走で、
この国の借金はとんでもない額にまで膨らんでしまった。
こうなったら徹底的に無駄を削って財政を健全化させねばならない--
そこで小泉内閣では「構造改革」を断行し、
既存の価値観やしがらみと訣別して「小さな政府」へと大きく舵を取った。
その方向性は正しい上に時代の必然であることには間違いない。
が、郵政民営化にしろ三位一体の改革にしろ
肝心の内容が骨抜きにされて中途半端に終わってしまったのは問題だ。
そこに安倍"美しい国"内閣の登場である。
まだテイクオフしていない安倍内閣の経済政策だが、
今後どういった展開を辿るかは厳しく注視していかなければならない。
日本列島が"夕張化"してからではもう遅いのだ。
まずはこの一冊から日本経済の「今」を考えてみたい。


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