BOOK REVIEW 47 銀色夏生『やがて今も忘れ去られる』

ISBN 978-4-04-167360-7やがて今も忘れ去られる
銀色 夏生
角川書店 2006-11-25
[角川文庫 き-9-62]

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17歳の頃、学校で恋をした女の子が読書好きだった。
それとなく読書の話題で盛り上がったときに、
彼女が銀色夏生さんのファンであることを知り、
私も彼女のことが知りたくて何冊かこの方の本を読んでみたものだ。

本に拡がっていたのは今にも糸が切れそうなほどの感傷的な世界だった。
『あたしなんて...あたしなんて...』
カナシミブルーで紡がれた言葉たちの一言一言が胸に突き刺さり、
男とは全く違う視点から恋愛を捉えているということにも気付いて
女性ってなんて繊細な「恋愛脳」をしているのだろうと肌で感じたものだ。

あれから随分と時は流れ、久しぶりに銀色夏生の新刊を手にしてみた。

やがて今も忘れ去られる--
嫌なことが顕在する「今」は忘れ去られて万々歳だ。
でも大好きな人との「今」は忘れ去られたくない。
そんなことになったら「私」の存在まで忘却の彼方に追いやられてしまう...

一見すると確かにLoveLoveな世界ではあるものの、
終始どこか満たされていないイメージを抱くのはどうしてだろう。

どれだけ「好き」と耳元で濡れるまで囁かれても
「好き」と共にやがて「今」が忘れ去られてしまうかもしれない。
それは恋する女の子にとって世界が破滅することよりも恐いことなのだ。

「その自由を想像すると恐ろしい なぜならあまりに自由だから」 (p70)

恋するキモチを化学的に分解してみると
きっと未知の化学式が数多に存在しているに違いない。

銀色夏生の放つ世界観はその化学式のヒントを私たちに提示してくれる。
笑顔咲ク君とつながっていたいためにもぜひこの世界観に触れて欲しい。

「君の中の無自覚は 僕の とどかない憧れ」 (p126)

恋なんて星のカタチをしたピース二つがくっつくパズルみたいなもの。

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