BOOK REVIEW 42 玄田有史 小杉礼子 労働政策研究・研修機構『子どもがニートになったなら』

ISBN 978-4-14-088152-1子どもがニートになったなら
玄田 有史 小杉 礼子 労働政策研究・研修機構
日本放送出版協会 2005-07-10
[生活人新書 152]

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「ニート」という言葉を知らない人は若年層では皆無ではないだろうか。
わずか3~4年の間で「ニート」の定義は急速に社会へ浸透した。

「ニート」は現在日本に数十万人いると言われている。
誰が「ニート」になるのかわからないサバイバルなこの世の中。
自分の子どもがいざニートになってしまったらどうしよう--
そんな不安を抱く親達へ向けて上梓されたのが本書。
小児向けの医学書みたいなタイトルが印象的だ。

どの国でもそうだが特に日本では価値観が世代毎に著しく違う。
生まれたときからすでに"豊かな国"だった私たちの世代と
戦後を這い上がってきた団塊の世代とでは生きるスタンスが違いすぎる。
そのズレが「ニート」の社会的認識を困難にして、状況を複雑化している。

そこで本書は"親世代"に読者ターゲットを絞り、
「ニート」を巡る現況についてわかりやすく解説している。
対談や現場レポートなど考察よりも実践知を重きに置いているのが特徴的だ。

20代後半の文系大学院生が社会へ出ようと思っても、
社会構造が邪魔をしてまともな職に就くことが大変難しい。
30代から社会復帰をしようと思ったら、
いかに才能があったとしても絶望的とも言って良いくらいだ。

満足行くセーフティーネットも構築されていないため
一度レールを外れたら敗者復活が極めて困難であり、
そんな社会構造は「量刑不当な格差社会」を作り上げた。
ワーキングプアになるくらいならニートのほうがまだマシかもしれない。

なのでニートを非難しても何も始まらない。
だからといってニートが無罪放免というわけでは決してなく、
どんな雑草の中でも強く生き抜いてやるという強固な意志も必要だ。
今すぐは無理でも、努力の方向としてはせめてそうでありたい。

大人や社会は確かに変わらなければならない。
しかしニートだって変わらなければならない。

「働くと、辛いこともたくさんあるけれど、
 結構、いいこともあるんだよ」 (p44)

ニートの「今」と「キモチ」がわかる親世代向けの一冊。

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