BOOK REVIEW 32 廣瀬裕子『ドロップ』

ISBN 978-4-08-747853-2ドロップ
廣瀬 裕子
集英社 2005-08-25
[集英社文庫 ひ-26-1]

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しあわせって何だろう。
しあわせってどんなカタチをしているんだろう。

青い鳥を求めて僕たちはいろいろな場所へとしあわせを探しに行く。
でも案外しあわせって自分のそばにあるのかもしれない。
だけど誰もそれに気づくことなく、物質的なしあわせを渇望する。
下手すれば恋愛関係までをも物質的概念にダウンコンバートし、
そんなチープなしあわせに充足している私たちがいる。

どこにでもある風景をもう一度眺めてみよう。
当たり前の日常を違う視点から噛み締めてみよう。

そしたらしあわせがひょっこり芽を出して
私たちにきっと微笑みを見せてくれるに違いない。

この本には忘れかけていたしあわせの風景が
写真と詩に織り交ぜられてパッケージングされている。

「夕ごはんをこうしてつくれること、
 帰ってきていっしょに食べる人がいること、
 それが、どれほどしあわせなことか」 (p76)

読んでいるとフォントまでもがしあわせそうに見えてくるから不思議だ。

みんながしあわせを感じることができたら世界はどう変わるだろう。
争い事や戦争なんかはきっと起きないのではないだろうか。
国をしあわせにする術を21世紀の人類は未だに持ち合わせていないが、
それよりも小さな単位、すなわち「家」や「人間」ならばしあわせにできる。

「あたらしい季節のはじまりを
 ふたりでむかえられること
 同時に感じられることを大切にしていたい。」 (p111)

しあわせな人もしあわせじゃない人も
この本でしあわせを感じ取ってほしい。

そして周りを幸せにしてほしい。

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