BOOK REVIEW 24 森見登美彦『太陽の塔』

ISBN 978-4-10-129051-5太陽の塔
森見 登美彦
新潮社 2006-06-01
[新潮文庫 も-29-1]

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「恋したごときで何を威張るか。恋する者はそんなに偉いか」(p203)

下宿大学生の最大の関心事は恋愛といってよいだろう。
大塚愛似の彼女をいかにしてGetするか。いかにしてモテるか。
今日も大学近くの飲み屋では下心ありありのコンパがあちこちで開かれている。

そんな風潮に正面から異議を唱える大学生たちがいた。

恋愛至上主義社会である現代文明に徹底して抗戦し、
"オンナを寄せ付けない"男汁オーラをあえて具現しようとする戦士達。

「我々はクリスマスを呪い、聖ヴァレンタインを罵倒し、
 鴨川に等間隔に並ぶ男女を軽蔑し、
 祇園祭において浴衣姿でさんざめく男女たちの中に殴り込み...」(p42)

そして迎えたクリスマス・イブ。
見渡せばカップルだらけのイルミネーション輝く四条河原町で
彼らはついに現代版「ええじゃないか」を起こす...その結末とは?

この物語では主人公の自叙伝風にストーリーが進んでいく。
京大生が主人公ということもあってか京都の地理が満載で、
京都に下宿している私は思わずニヤリとしてしまった。

彼は妄想が天才的にすごい。いや、ひどい。
あまりに妄想が飛躍しすぎて、時にはとんでもない行動を起こすことがある。
これも天才である故だろうか。ザッツ変人な武勇伝エピソードには思わず苦笑。
常人にはとても理解しがたいパラレルワールドがここにあった。

端から見れば愚直なベクトルを持つ生き方ですら
不器用すぎるほど真っ直ぐに貫いてやろうとする主人公とその仲間たち。
これも立派な青春だと胸を張って言うことができるであろうし、
青春なんて振り返ってみれば所詮馬鹿なものではないかと思う。
「馬鹿正直でいいから自分の感じていることを徹頭徹尾貫く」
そんな彼らの固い姿勢の一片が伝わってくれば正解だろう。

この物語をすべての失恋男たちに捧ぐ。

さて技巧的な論評は出来るだけ避けたいのだが一言だけ記しておきたい。
物語の内容とタイトルの伏線がどうも弱すぎるように感じる。
結局タイトルをもって何を読者へ訴えかけたかったのか。
その点がはっきりしなかったのが残念でならない。

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