![]() | 悪人正機 吉本 隆明 糸井 重里 新潮社 2004-12-01 [新潮文庫 よ-20-2] by G-Tools |
コピーライター:糸井重里を聞き手に迎えて、
"思想家の巨人":吉本隆明が様々なテーマから
人生の本質を探っていった一冊。
「学者とかの、通り一遍の論理で言われたって、どうも納得しねえな」 (p304)
とあるように堅苦しい哲学調で論じているのではなく、
中学生でも理解できるように出来るだけ平易な言葉を用いて
口語体で綴られているのが本書の特徴だ。
「生きる」ってなんだ? 「仕事」ってなんだ? 「戦争」ってなんだ?
など1億人いれば1億通り答えがあるような人類普遍の命題に対し、
吉本は逆説的なアプローチで深層に斬り込んでいる。
「働くのがイイなんて、それはウソだよ」 (p67)
「円満な家庭なんて、そんなものはねえんだよ」 (p157)
どんな教科書もどんな宗教の教義も
ただキレイゴトを理想論として並べているだけで、
一髪千鈞な世の中である現代においては
もしかしたら何の役にも立たないシロモノなのかもしれない。
全員がマザー・テレサになれば世界は平和になるのであろうか。
ある一つの目標に向かって全員が猪突猛進に努力をし、
全員が人格者でかつ自らの命も他人のためなら惜しまない…
そういったいわゆる"ユートピア"を目指して
既存の学校システムや宗教は人類が誕生してから何千年にもわたって
人々を善なる道へと教道してきたわけだが、
皮肉にも教道すればするほど
世界は"ユートピア"とは逆の方向へと軸を向けていった。
そこで救世主となるかもしれないのが
本書のタイトルにもある『悪人正機(あくにんしょうき)』の概念だ。
どんな概念なのかは本書にバトンタッチするとして、
複雑化しきった現代においては多少アウトローな考えを持つことが
マストとまではいかないものの少しばかり必要なのかもしれない。
"プッチいい加減イズム"の大切さをこの本でちょっと考えてみませんか?


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