BOOK REVIEW 4 岡留安則『『噂の眞相』25年戦記』

ISBN 978-4-08-720275-5『噂の眞相』25年戦記
岡留 安則
集英社 2005-01-19
[集英社新書 275B]


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『噂の眞相』という雑誌をご存知だろうか。
政治・社会問題から芸能・風俗まで幅広い分野における
タブーに果敢に挑み、反権力のスタンスを徹底的に貫いた希有の雑誌だ。

月刊総合誌では『文藝春秋』に次いで2位の売上を誇り、
経営も黒字だったものの2004年3月に惜しまれつつ休刊した。
そんな反権威雑誌の編集長でもある著者が25年の編集生活を回顧し、
日本の言論を取り巻く現状を憂いたのが本書である。

日本国憲法第21条では言論の自由を保障されているはずなのだが、
この国には暗黙の了解的なタブーが実に多い。
代表的なのは皇室における菊タブー、検察、裁判所などの権力タブー、
宗教タブー、裏社会タブーであり、ジャーナリズムは自らの身を案じてか
これらのタブーにはあまり積極的に触れたがらない。

しかし『噂の眞相』は違った。新聞や週刊誌では掲載不可能な記事を
文字通りタブーなしでどんどん掲載し、
日本の言論の限界にまで挑戦し続けた。

その内容の過激さから右翼団体に襲撃され、政治家からの訴訟も相次ぎ、
広告主まで去っていってしまうといった事態も発生するが、
『噂の眞相』はスキャンダル・ジャーナリズムを25年間追及し続けた。

大新聞は記者クラブを組織しているせいか
政治家や検察や裁判官などには驚くほど甘い。
下手な記事を書くと新聞の生命線である"情報"の提供が
途絶えてしまう危険性があるからだ。

では週刊誌はどうかというと記者クラブのしがらみはないものの、
広告主の大会社や出版社が抱える作家のスキャンダルは書けない。
駅売りタブロイド紙も同じような宿命にある。

となると真実を追い求めるジャーナリズムはこの国には存在しないのか。
本書ではジャーナリズムを巡る泥臭い現状が生々しく書かれている。
無敵の権力をもつ検察のトップが姑息な手段で裁判を引き伸ばし、
裁判官もグルとなっていた訴訟エピソードには行き場の無い憤りを覚える。

折りしもメディア規制を織り込んだ人権擁護法案が
今国会に提出されようとしている時期だ。
言論の自由がなくなってしまうこの危機に
我々は断固として立ち向かわなければならない。
そして言論の自由が人間の社会的機能としていかに重要であるかという
国民的議論を巻き起こさないとこの国のジャーナリズムは死んでしまう。

最後に編集長のジャーナリズム観を本書から引用したい。

「メディアは常に権力や権威に対して疑問をもち、
 市民や読者の知る権利の代行機関として
 社会的なチェック機能を果たすということに尽きる。
 そこには、言論・表現の自由という憲法で保障された
 メディアの社会的機能が健全に作用しないと、
 国家も社会も不正や腐敗がはびこってしまう
 という歴史認識が前提としてなければならない。
 それは言論の自由なきファシズム国家のケースを想起すれば
 誰しも理解できるはずである」 (p196)

『噂の眞相』が投げかけた課題は我々にとってあまりにも大きい。

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