BOOK REVIEW 3 古矢旬『アメリカ 過去と現在の間』

ISBN 978-4-00-430912-3アメリカ 過去と現在の間
古矢 旬
岩波書店 2004-12-21
[岩波新書 新赤版912]

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2004年11月、次期米国大統領にブッシュが選された。

イラク戦争の大義に据えた"大量破壊兵器の脅威"が嘘っぱちだとわかり、
肝心のイラクの治安も戦争前より逆に不安定に陥ってしまい、
経常赤字と財政赤字を合わせたいわゆる「双子の赤字」も
未曾有の域まで膨れ上がってしまった。

それでも米国民はケリーではなくブッシュを選択し、
ブッシュは「世界はより安全になった」と力説する。
もちろん内省する気配などは微塵にも感じられない。

しかしこれはブッシュ個人の暴走というわけでは決してない。
ブッシュが対外ジコチュー路線に走るのもそれなりの理由がある。
その理由をアメリカ史の起源から掘り起こしたのが本書だ。

本書は「ユニラテラリズム」「帝国」「戦争」「保守主義」「原理主義」といった
政治外交の主要な5つのファクターをアメリカ史に絡めながら考察し、
現在のアメリカが置かれている状況を改めて見つめ直している。

…「ユニラテラリズム」にならざるをえない
歴史的な宿命をアメリカは背負っている。
「帝国」とよくアメリカは形容されるが、
そもそもアメリカは反帝国的な存在だった。
「戦争」を今も昔もアメリカはしょっちゅうやっているが、
アメリカにとっては単なる"対外的軍事行動"にすぎない。
「保守主義」はもともとアメリカにはない概念で、
産業化、福祉国家政策が今日のネオコンに至る保守の系譜をもたらした。
「原理主義」はリベラリズムに対するアンチテーゼで、
現在のブッシュ政権の中枢を担っているイデオロギーだ…

新聞の見出しだけを拾っていてもアメリカの本質は見えてこない。
アメリカ的思考を根本から理解したい人にお勧めの一冊だ。

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