BOOK REVIEW 11 烏賀陽弘道『Jポップの心象風景』

ISBN 978-4-16-660432-6Jポップの心象風景
烏賀陽 弘道
文藝春秋 2005-03-20
[文春新書 432]

by G-Tools


桑田佳祐・松任谷由実・GLAY・浜崎あゆみ…
に代表されるスーパーアーティスト達はなぜ大衆の心を掴むのか?
その理由を民俗学的アプローチから解きほぐしていった斬新な一冊。

「Jポップ」という音楽ジャンルは誠に不思議な側面を有していて、
日本製の音楽なんだけども、純日本的な音楽では決してない。
欧米のロックやポップスをマネて、俗にいえばパクって、
日本の大衆に合うようにカスタマイズされている。
まさに漢字や仏教と同じような運命を辿っているといえよう。

故に日本では大ヒット確実のアーティストも
一歩海の外へ出るとさっぱり売れなくなってしまう。
ということは日本人でしかわからない"何か"が
JポップのDNAに埋められているのではないだろうか、と本書は考えた。

特にザ・ブルーハーツの考察は秀逸である。
"バブル経済"という物質世界のいわゆる沸点で自分を見失い、
社会がどこかおかしいと感じた若者は
仏教色の濃いアニミズム的な精神世界を歌に託す
ブルーハーツへと傾倒していった…とする考察がかなりおもしろい。

私的には当然のことながら桑田佳祐の章に興味を抱いた。
2000年に行われた茅ヶ崎ライブの社会現象を
伝統的な「お盆の帰省」にスライドさせて、
日本人の民俗信仰の観点から江ノ島、米国へと深淵に斬り込んでゆく。

確かにマクロである大衆がなぜ熱狂的になるかを考察するには
一つの有効的なアプローチであるとは思うのだが、
サザンオールスターズを考察するには実はもう一つ大きな着眼点がいる。
でないと私のような狂信的マニアの存在を論証できない。

その着眼点とは何か。
生粋の大ファンとして今はあえて言わないことにしておこう。

ちなみにこの本は音楽本ではない。
その証拠としてギターの技量がどうのこうのといった音楽的考察や
レコード会社のビジネス・マーケティングなどには一切触れられていない。
だからこそおもしろく、Jポップを聞く耳が180度変わるに違いないだろう。

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